40代エンジニアの転職が難しいと言われる理由

IT・通信業界は2024年下半期においても、全業種の中で最も高い水準の採用ニーズを保っています。
Qiitaの『エンジニア白書2024』では、45〜54歳の65%がマネージャー以上の職位に就いているというデータもあり、技術力に加えてチームをまとめる力や業務改善の視点が重視されていることがうかがえます。豊富な経験を持つベテランエンジニアの需要は、今後はより高まっていく可能性も高いでしょう。
その一方で、実際に転職活動をしている中で「40代という年齢がネックになるのでは」と感じる方は多いかもしれません。
ここでは、40代エンジニアが転職において直面しやすい3つの壁を、実情に即して整理していきます。
新しい技術へのキャッチアップに不安を感じやすい
40代ともなると、既に確立したスキルセットがある一方で、常に変化する技術トレンドへの対応力が問われる場面が増えます。
Qiitaの『エンジニア白書2024』によると、習得したい言語の1位はPython、2位はGo、3位はRustと、比較的新しい言語が上位を占めています。
これらの言語に関心を持つエンジニアが多い一方、同調査によれば日々の勉強時間は「60分未満」が68%を占めており、キャッチアップの余裕が取れないことも現実です。
特に業務や家庭との両立が求められる40代では、「新しい技術を学ぶ余裕がない」「既存スキルだけで戦えるだろうか」といった不安を抱きやすく、それが転職活動の足を引っ張る要因になりがちです。
年収・役職の条件がネックになることも
Qiitaの『エンジニア白書2024』によれば、35歳以上のエンジニアでは年収800万円以上の割合が25%以上となっており(p.36)、また45〜54歳では65%がマネージャー職以上という結果が出ています。
つまり、40代のエンジニアはすでに一定の待遇・地位を確立していることが多く、新たな転職先でも同等の条件を求める傾向があります。
しかし、転職市場では必ずしもその期待に見合うポジションが潤沢にあるとは限りません。
結果として、「希望に見合う求人が見つからない」「選考は通るが条件が折り合わない」といったミスマッチが起きやすくなります。
ポテンシャル採用の枠から外れやすい
20代や30代前半のエンジニアであれば、多少のスキル不足があっても「成長に期待して採用する」というポテンシャル重視の枠に入りやすいのが現実です。しかし、40代ともなると企業側の期待は一変します。
40代以上のエンジニアの多くがリーダーやマネージャー職に就いており、すでに「育成対象」ではなく「成果を出す立場」にいることが分かります。そのため、ポテンシャル採用ではなく、「即戦力で結果を出せるかどうか」が強く問われるのです。
また、転職活動の場では、採用側が「過去の実績」に注目する一方で、求職者自身が「新しい職場にどう貢献できるか」を明確に語れないと、評価されづらい構造にもなっています。
40代エンジニアにおすすめの転職先・業界

40代エンジニアが転職先を選ぶうえで大切なのは、「過去のスキルが活かせるか」だけでなく、「これからの働き方に合っているか」という視点です。マネジメント経験や業務設計の視点を持つ40代だからこそ、選べる選択肢も広がっています。
ここでは、40代エンジニアにとって現実的かつチャンスのある業界や職種を3つのタイプに分けて紹介します。
社内SE・SaaS企業など安定志向の転職先
安定性や長期的なキャリアを重視する40代には、社内SEやSaaS企業の開発ポジションが注目されています。これらの職場は、自社内での業務改善や継続的開発に関わるケースが多く、外部顧客の納期に追われる受託開発とは異なる「腰を据えた働き方」が可能です。
特にSaaS企業では、プロダクトごとに開発が継続的に進行し、ユーザーの声をもとに改善を重ねるスタイルが主流です。ビジネス部門との連携や、サービス全体を見渡した設計力が求められるため、40代が持つ横断的な視野が活きる環境となっています。
また、社内SEとして大手企業に転職する場合、業務効率化の設計・運用や他部署との橋渡し役としての能力が重視されます。マネジメント経験がある人材にとっては、プレイヤー兼戦略担当としてのやりがいも大きいフィールドです。
スタートアップや外資系など挑戦的な環境
一方で、キャリアの後半にあえて「未知の環境に挑む」選択をする40代エンジニアも増えています。スタートアップや外資系企業は、年齢よりも実力や専門性を重視する傾向が強く、スピード感のある組織で成果を上げやすいのが特徴です。
特に生成AIやWeb3など、次世代領域を扱う企業では、技術と事業を横断的に理解できる中堅層を求めており、40代でも「成長ドライバー」として歓迎されるケースがあります。
リスクもありますが、自由度と裁量の大きさは他では得がたい魅力です。
地方移住・リモート案件も視野に入れる
近年は「働き方の自由度」そのものがキャリア選択の軸となりつつあり、地方移住+リモート勤務といった選択肢も現実味を帯びています。Qiita『エンジニア白書2024』によると、100人未満の企業では20%以上がフルリモートを採用しており(p.32)、都市部に住まなくても高度な仕事に関わる道は広がっています。
また、リモート主体の開発体制では「自律的に動ける人」「コミュニケーションが丁寧な人材」が評価されやすく、現場経験と対人力を兼ね備えた40代のエンジニアにはフィットしやすい環境です。
地方自治体や地域ベンチャーとの連携プロジェクトなども拡大しており、「移住+フルリモート+地域支援」という複合型キャリアを描く人も少なくありません。
40代エンジニアが転職成功するためのポイント

40代後半のエンジニアが転職を成功させるためには、戦略的なアプローチが不可欠です。ここでは、転職成功のための具体的なポイントを詳しく解説します。自身の強みを最大限に活かし、市場のニーズに応える準備をすることで、転職の可能性は大きく広がります。
スキルと経験の棚卸し
転職成功の第一歩は、自身のスキルと経験を客観的に評価することから始まります。長年のキャリアで培った技術や知識を整理し、現在の市場価値を見極める必要があります。以下のような手順で棚卸しを行いましょう。
- これまで携わったプロジェクトの一覧を作成する
- 各プロジェクトで使用した技術やツールをリストアップする
- プロジェクトでの役割や貢献度を明確にする
- 取得している資格や受講したトレーニングを整理する
- 業界特有の知識やノウハウを洗い出す
この棚卸しにより、自身の市場価値を客観的に把握し、アピールポイントを明確にすることができます。例えば、ある40代後半のエンジニアは、棚卸しを通じて自身がクラウド移行プロジェクトの経験を多く持っていることに気づき、それを強みとしてアピールすることで転職に成功しました。
また、棚卸しの過程で自身のスキルギャップも明らかになります。これは、次のステップである「最新技術の習得とアップデート」につながる重要な気づきとなります。以下は、今後求められるスキルセットについてまとめた資料です。

最新技術の習得とアップデート
40代後半のエンジニア転職において、最新技術への対応は避けて通れません。技術の進化スピードが加速する中、継続的な学習と自己研鑽が求められます。以下のような方法で、最新技術の習得とスキルのアップデートを図りましょう。転職の際の面接で、過去のスキルや経験はもちろん、どのようなアップデートについて取り組んだのかを質問されるケースも少なくありません。

参考:エンジニアの転職活動における面接。よくある質問は「これまでの経験やスキルについて」が最多。
Offersの調査によれば、面接時に「技術やスキルについて聞かれた」という割合は、46.0%となっており、最も多い割合を占めています。
ただし、闇雲に新しい技術を追いかけるのではなく、自身のキャリアビジョンに沿った学習計画を立てることが重要です。市場のニーズと自身の興味・適性のバランスを考慮し、効果的なスキルアップを目指しましょう。
40代エンジニアにおすすめの転職エージェント

40代エンジニアの転職では、適切な転職エージェントの選択が成功の鍵を握ります。経験豊富なコンサルタントのサポートを受けることで、効率的かつ効果的な転職活動が可能になります。ここでは、40代エンジニアにおすすめの転職エージェントを紹介し、それぞれの特徴や強みを詳しく解説します。
40代エンジニアにおすすめの転職エージェント
40代エンジニアの転職では、適切な転職エージェントの選択が成功の鍵を握ります。経験豊富なコンサルタントのサポートを受けることで、効率的かつ効果的な転職活動が可能になります。ここでは、40代エンジニアにおすすめの転職エージェントを紹介し、それぞれの特徴や強みを詳しく解説します。
レバテックキャリア
レバテックキャリアは、IT・Web業界に特化した転職エージェントサービスです。技術職に精通したキャリアアドバイザーが在籍し、エンジニア・デザイナー・PM職などの専門職種に対して深い理解を持ったサポートを提供しています。15年以上の実績を持ち、業界トップクラスの求人数と転職成功率を誇る老舗のIT転職エージェントとして知られています。
【40代エンジニアにレバテックキャリアが適している理由】
- ハイクラス求人が豊富- CTO候補やテックリード、アーキテクト職など、40代の豊富な技術経験と管理経験を評価する上級ポジションの求人を多数保有しており、キャリアアップを目指す転職が可能です。
- 技術専門アドバイザー - 現役エンジニア出身や技術バックグラウンドを持つアドバイザーが多数在籍しているため、40代エンジニアの持つ深い技術スキルや経験を正確に理解し、適切な企業とのマッチングを行えます。
- 年収アップ実績- 利用者の多くが年収アップを実現しており、特に経験豊富な40代エンジニアの市場価値を最大限に活かした条件交渉を得意としているため、現職よりも好条件での転職が期待できます。
マイナビITエージェント
マイナビITエージェントは、大手人材会社マイナビが運営するIT・Web業界専門の転職エージェントサービスです。
マイナビグループの豊富なネットワークと信頼性を活かし、大手企業から成長中のベンチャー企業まで幅広い求人を取り扱っています。
【40代エンジニアにマイナビITエージェントが適している理由】- 大手企業求人が豊富 - マイナビグループの強力なネットワークにより、安定性と待遇面で魅力的な大手企業の求人を多数保有しており、40代のキャリアステージに適した転職先を見つけることができます。
- 丁寧なサポート体制 - 経験豊富なキャリアアドバイザーが一人ひとりに時間をかけて対応し、40代転職者の不安や課題に寄り添った個別サポートを受けることができます。
- 非公開求人の質が高い - 企業との信頼関係により質の高い非公開求人を多数保有しており、40代の経験とスキルを評価する好条件のポジションに出会える可能性が高くなります。
Geekly
Geeklyは、IT・Web・ゲーム業界に特化した転職エージェントサービスです。特にWeb系エンジニアやゲーム業界に強みを持ち、スタートアップから大手企業まで幅広い求人を取り扱っています。業界に精通したコンサルタントが在籍し、技術トレンドや市場動向を踏まえた的確なキャリアアドバイスを提供。年収アップ率75%以上という高い実績を誇り、エンジニアの転職成功をサポートしています。
【40代エンジニアにGeeklyが適している理由】- Web・ゲーム業界に特化 - 成長性の高いWeb系企業やゲーム会社の求人が豊富で、40代の豊富な経験を活かせる技術責任者やリードエンジニアのポジションを多数保有しています。
- 高い年収アップ実績 - 75%以上の利用者が年収アップを実現しており、40代エンジニアの市場価値を最大限に評価する企業との マッチングが得意です。
- スピード感のある転職 - 平均1ヶ月での内定獲得実績があり、40代の転職活動における時間的制約を考慮した効率的な転職活動が可能です。
Direct type
Direct typeは、IT・Web業界に特化したダイレクトリクルーティング型の転職サービスです。従来の転職エージェントとは異なり、企業から直接スカウトメッセージが届く仕組みを採用しています。エンジニア、デザイナー、マーケターなどのIT系職種に特化し、スタートアップから上場企業まで幅広い企業が利用。匿名でプロフィールを公開でき、現職にバレることなく転職活動を進められる点が特徴です。
【40代エンジニアにDirect typeが適している理由】- 企業からの直接スカウト - 40代の豊富な経験とスキルを評価した企業から直接オファーが届くため、市場価値を客観的に把握でき効率的な転職活動が可能です。
- 匿名での転職活動 - 現職にバレるリスクなく転職活動ができるため、40代の慎重な転職活動に適した環境が整っています。
- 高年収求人が中心 - 年収600万円以上の求人が多く、40代エンジニアの経験に見合った好条件での転職機会を見つけやすくなっています。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、業界最大手のリクルートグループが運営する総合型転職エージェントサービスです。全業界・全職種を網羅し、業界トップクラスの求人数を誇ります。IT業界の求人も豊富に取り扱っており、大手企業からベンチャー企業まで幅広い選択肢を提供。長年培ったノウハウと企業との強固なネットワークにより、転職成功実績No.1を維持しています。
【40代エンジニアにリクルートエージェントが適している理由】- 圧倒的な求人数 - 業界最大級の求人データベースにより、40代の経験とスキルにマッチする多様な選択肢から転職先を選ぶことができます。
- 大手企業とのパイプ - リクルートブランドの信頼性により大手企業との強固な関係を築いており、安定性を重視する40代に適した求人を豊富に保有しています。
- 豊富な転職ノウハウ - 長年の実績に基づく転職成功のノウハウを持ち、40代特有の転職課題に対する的確なアドバイスとサポートを受けることができます。
年収アップを目指す転職のコツ

40代エンジニアの転職では、年収アップを目指す方も多いでしょう。ただし、単に高給を求めるだけでなく、自身の市場価値を正確に把握し、適切な戦略を立てることが重要です。ここでは、40代エンジニアが年収アップを実現するためのコツを詳しく解説していきます。
交渉力を身につける
年収アップのためには、適切な交渉力が不可欠です。自身の経験やスキルの価値を明確に伝え、それに見合った待遇を求める姿勢が重要です。交渉の際は以下の点に注意しましょう:
- 自身の市場価値を客観的に分析し、根拠のある要求をする
- 企業側のニーズを理解し、Win-Winの関係を築く
- 柔軟性を持ちつつ、自身の譲れないラインを明確にする
実際の交渉では、冷静さを保ちながらも自信を持って臨むことが大切です。
給与相場を調査する
年収交渉の際には、業界や職種ごとの給与相場を把握しておくことが重要です。2024年現在、40代エンジニアの平均年収は約800万円から1,000万円程度と言われていますが、スキルや経験、企業規模によって大きく異なります。
職種 | 平均年収(40代) |
---|---|
システムエンジニア | 750万円~950万円 |
プロジェクトマネージャー | 900万円~1,200万円 |
データサイエンティスト | 800万円~1,100万円 |
これらの数字を参考にしつつ、自身のスキルセットや経験値を考慮して、適切な年収レンジを設定しましょう。
スキルと経験をアピールする方法
40代エンジニアの転職では、豊富な経験とスキルが強みとなります。これらを効果的にアピールすることで、年収アップの可能性が高まります。
- 具体的な成果や数字を用いて、自身の貢献度を明確に示す
- 最新技術への対応力や学習意欲をアピールし、若手に負けない柔軟性をアピール
- マネジメント経験や大規模プロジェクトの遂行実績を強調する
また、転職サイトのプロフィールや職務経歴書では、キーワードを適切に使用し、スキルや経験が一目で分かるように工夫しましょう。
有名企業にこだわらない
年収アップを目指す際、必ずしも有名企業や大手企業にこだわる必要はありません。むしろ、中小企業やベンチャー企業の方が、個人の能力や貢献度に応じた柔軟な待遇を提示してくれる可能性があります。
- 成長中の企業では、自身の経験を活かせる重要なポジションに就ける可能性が高い
- ベンチャー企業では、ストックオプションなど、将来的な高収入につながる選択肢もある
- 中小企業では、幅広い業務に携わることで、市場価値を高められる機会が多い
企業規模だけでなく、自身のスキルと経験を最大限活かせる環境を重視することで、結果的に高い年収につながる可能性があります。
まとめ
40代エンジニアの転職は、挑戦と機会の時期です。豊富な経験を活かしつつ、新たなスキルの獲得や環境への適応が求められます。
キャリアゴールを明確にし、市場のニーズを理解することが成功の鍵となるでしょう。転職エージェントの活用や継続的なスキルアップ、そして柔軟な姿勢を持つことで、40代からの新たなキャリアステージを切り開くことができます。自身の価値を正しく評価し、適切な準備を整えることで、充実した転職活動が可能となるはずです。